開襟シャツ&昭和エッセイ シュガ・プラム・フェアリ  
 
 エッセイ
  当サイトでは気ままに60年代以降の昭和の思い出をエッセイとして綴っています。記憶違いや思い込
 み、うろ覚えで書いたものもあります。ご理解いただいたうえ、お読みいただければと思います。また、
 このような性質のエッセイですので、記述に誤り等ございましたらBBSでご指摘いただけると幸いです。
  怪獣映画パラダイス ガメラ ’60s
 1954年に誕生した東宝映画の「ゴジラ」は、その後ますます人気を集めるようになり、
64年の「三大怪獣 地球最大の決戦」以降は、悪役から地球を守るヒーローへとイメチェンをしていった。明らかにこれにインスパイアされる形で大映が制作したのが「大怪獣ガメラ」だ。子供たちのゴジラに対する熱の入れようを見れば、同業他社だって、企業であるからには黙って指をくわえて見ているわけにはいかなくなる。つまりガメラは、「柳の下の2匹目のドジョウ」を狙って誕生したキャラクターだったわけである。
 「大怪獣ガメラ」が封切られたのは「三大怪獣〜」から遅れること1年。1965年の秋口だった。ゴジラ映画を観ている子供たちは、当然こぞって観にいった。正直なところ、当時私は子供ながらにそのイージーなネーミングにやや不満を抱いていた。それまで東宝の怪獣映画を観てきていたからだ。この頃までの東宝の怪獣たちはゴジラをはじめモスラ、ラドン、アンギラス、キングギドラと、なんとなく耳触りのいいネーミングがされていた。なのに「カメの怪獣だからって、ガメラって……」という想いを抱いてしまったのである。そして実際に観にいってみて、今度はガメラの姿形に違和感を覚えた。だが、その違和感がどこからくるものなのかはわからなかった。  ガメラ
 ガメラはゴジラと同じように口から火を吹く。しかしゴジラのように射程距離の長い炎ではない。そのくせゴジラと比べると迫力のある火炎放射だった。ゴジラの火が後から処理をした、言わば描いたものだったのに対して、ガメラの火は本物の火だったからだ。それに、ガメラは空を飛ぶことができる。ゴジラにはできない芸当だ。しかも頭と手足を亀の甲羅に引っ込めて、そこから炎を出して回転しながら飛行する。なんともユニーク! 顔だって下顎からニョキっと牙が生えていて精悍な面構えだし…… カッコいいではないか!
 それなのに、なんだかスッキリしない。後になって、それはガメラが地を這って歩くキャラクターだったためだと気がついた。ゴジラはヒトと同じように2足で歩く。が、ガメラを見ると、どうしても人間が膝を曲げて這っている姿が見えてきてしまう。お父さんが子供と「お馬さんごっこ」している姿に見えてしまったのである。おまけに、頭の部分が重かったとみえて、上からピアノ線で吊るしているのがわかった。このモヤモヤが晴れたのは、第2作目の「ガメラ対バルゴン」。ガメラ以上にバルゴンの頭が重そうで這って歩くのがいかにも辛そうなのを見て、これが違和感の元だということがわかったのである(そういえば、アンギラスを観た時も、モヤモヤしたことを思い出した)。
 それでもガメラは生き残った。やはりキャラクターとしてはよくできていたからだと思う。数年前に公開された角川映画版の「小さき勇者たち ガメラ」を観て、改めてそのデザインのよさを認識させられた。もっとも、平成のガメラに登場する怪獣たちは、昭和のとはだいぶ趣が違っていて、グッとデザインがよくなっている。ギャオスなんかもかなりカッコいい。
 というわけで、ガメラは見事に「2匹目のドジョウ」として成功したのだった。だが、当時日本には他にも映画会社があった。日活と松竹である。東宝がゴジラ・シリーズをドル箱にし、続いた大映でもガメラ(同社は大魔神もほぼ同時期に登場させていた)が当たったとなっては、日活・松竹のお偉いさんだって黙っていられるはずがない。当然、大号令がかかる。
 '67年、日活は川地民夫主演で「大巨獣ガッパ」を作り、松竹でも対抗して「宇宙大怪獣ギララ」を制作した。ガッパは河童、ギララはギラギラ光る発光体…… このネーミング、あんまりではないか。こりゃガメラどころの話じゃない! でも、観にいってしまうのだ。細かいストーリーは忘れてしまったが、どちらも単に怪獣を出現させるために作られたストーリーだったように思う(当たり前、ではある)。少なくとも私は、これらの怪獣に対してゴジラやガメラのようには熱中することはできなかった。そして、彼らは一発で消えてしまった。
 ところで、ガメラで強烈に記憶に残っているのが、ガメラのテーマ・ソング。「♪ガメラー、ガメラ―、強いぞガメラ! 強いぞガメラ!……」というやつである。そうだった、最初からガメラは子供に対してはやけにやさしい怪獣だったのだ。それともう1つ。「大怪獣ガメラ」で、そのガメラの友だちだった子役の内田善郎が、数年後に「高校生ブルース」で関根恵子の相手役をやって、アッという間に大人になったことも、強烈な記憶として残っている。
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