開襟シャツ&昭和エッセイ シュガ・プラム・フェアリ  
 
 エッセイ
  当サイトでは気ままに60年代以降の昭和の思い出をエッセイとして綴っています。記憶違いや思い込
 み、うろ覚えで書いたものもあります。ご理解いただいたうえ、お読みいただければと思います。また、
 このような性質のエッセイですので、記述に誤り等ございましたらBBSでご指摘いただけると幸いです。
  メロディ・フェア ’70s
 中学生の頃見た'71年公開の映画「小さな恋のメロディ」。'50年代後半から'60年代前半生まれの人は「メロディ世代」といってもいいくらい、ほとんどの同世代の人は見たことのある映画だと思う。この世代がちょうど思春期にさしかかった頃に公開されたラヴ・ストーリーだったからだ。だから、同世代とはすぐにこの話題で盛り上がれたりする。
 舞台はイギリス。ストーリーはというと、パブリック・スクール(イギリス
小さな恋のメロディ
では良家の子女が通う学校)に通うダニー(マーク・レスター)とメロディ(トレイシー・ハイド)の初恋物語。ダニーは悪友のオーンショウ(ジャック・ワイルド)といつも一緒に子供っぽいいたずらを楽しみながら遊んでいた(ビー・ジーズの「Give your Best」というブルー・グラス風の曲をバックに、やたら2人で走り回っている印象がある)。そんなある日、学校の授業でバレーを踊っている可愛い女の子を見て一目ぼれ。オーンショウは親友を取られてしまったように感じて、ダニーの態度が気に入らない。女の子の名前はメロディ。いつしかダニーがメロディに好意を持っていることが友だちを介して彼女に伝わり、メロディもダニーのことが気になりはじめる。2人は初めてお墓でデートをする。墓碑に書いてあった、先だった妻へ宛てた夫の愛の言葉を見てメロディが訊く。「この夫婦は50年もの間愛し続けたのね。あなたはそんなに長く愛し続けられる?」これに対してダニーは「あたりまえだよ。僕はもうまるまる1週間も君のことを愛し続けてる」と応える。そして、彼らは結婚を誓い合うのだった。最初はメロディを毛嫌いしていたオーンショウだが、2人のひたむきさを知って結婚式を企てる。これを知った教師や親たちは大慌てで式を阻止しようとするが、2人はクラスメイトらの前で永遠の愛を誓って、広い草原をトロッコに乗って自分たちの未来に向かって旅立っていく、というもの。
 とにかくメロディちゃんのトレイシーがかわいらしかった。初登場シーンで、物々交換で手に入れたビンに入った金魚と戯れているその姿…… 幼さと大人っぽさが同居していて、私たちの年齢の男の子にとってはとても魅力ある女の子だった。私の友だちなどは彼女に完全にKOされてしまい、せっせとイギリスまでファン・レターを送り続けていた。お陰で彼の英語力は格段に進歩した。
 それからマーク・レスターの人気もすさまじかった。もっとも彼に関していえば、もともと子役としての地位は確立していた。映画「オリヴァー」では、既にオーンショウ役のジャック・ワイルドと共演していて、2人とも売れっ子ではあったのだ。ちなみにジャッ
 トレイシー・ハイド
ク・ワイルド、この映画では11、2歳の子供の役であったが、実年齢は確かハイティーンだったそうで、それはそれで驚きだった。
 それから、特筆すべきが、映画のバックに流れていた音楽。ビージーズの「メロディ・フェア」「イン・ザ・モーニング」「ラヴ・サムバディ」「若葉のころ」など、そしてクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングの「ティーチ・ユア・チルドレン」、さらに今でもテレビのBGMでよく耳にするリチャード・ヒューソンの「スピックス・アンド・スペックス」をはじめ、名曲の数々が映画を盛りたてていた。
 あれから40年近くの年月が流れ、あの頃の子供たちもすっかりくたびれた年齢になってしまった。しかし、映画のラストシーン、トロッコが草原を行くシーンを思い出すと、なんとなく忘れかけてしまった甘酸っぱい感覚が蘇ってくるような気がする。そういえば当時、旭化成のCMでそのシーンが使われていた。夢いっぱいの未来を連想させるシーンで企業イメージをアピールしたかったからだろう。しかしこの歳月の中で、オーンショウを演じたジャック・ワイルドは天に召されたそうである。現実はそこに厳然としてある、ということか。
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